研究室紹介

鷲見研究室では、実際に川や湧水など水のある空間に出かけて現地調査をします。

みんなで現地に行きますが、生き物の環境を考える、水害対策を考えるなど、研究テーマはそれぞれ異なります。
水辺・水中・地下水で実際に起きているものを目の当たりにし、目に見えないものを明らかにすることは楽しいものです。
洪水が起きて川の様子が変わる様は都市生活ではわからないものがあります。

また、身につけた段取りの手順は将来、公務員や会社などに就職し河川などの管理・設計・調査の仕事に就いたとき、効率的に作業を進められるようになります。

 

研究テーマ

鷲見研究室で扱う4テーマです。

● 湧水環境      ● 滝の温度環境
● 河川氾濫(はんらん )● 河川環境

いずれのテーマにおいても実物の川や湧水と接するために、外に飛び出して調査します。
天気の良い日に水辺で体を動かす調査は気分がよいものです。

湧き水を好む生き物が棲む良い環境を調べ、保全対策を考える 滝がもたらす涼しい環境の成り立ちを解析し、新たに創り出す研究 川が氾濫する豪雨をいちはやく判断し、逃げるための研究 川の地形、植生、環境の相互作用の研究
湧き水を好む生き物が棲む良い環境を調べ、保全対策を考える
滝がもたらす涼しい環境の成り立ちを解析し、新たに創り出す研究
川が氾濫する豪雨をいちはやく判断し、逃げるための研究
川の形、植生、環境の相互作用の研究

 湧水環境 :湧き水を好む生き物が棲む良い環境を調べ、保全対策を考える

湧水は、人にも生き物にも、きれいな水をもたらすだけでなく、夏は冷たく冬に温かいという特徴があります。
これに依存する生き物は、湧水が減り水温が変化しやすくなるとたちまちすみかを失ってしまうため、良好な環境を保てるかどうかが問題となります。
湧水の起源や地下水の経路は、どれも同じではなく、火山に降った水が溶岩などを通って湧くものや、平野への出口にある扇状地に川の上流からしみ込んで下流で湧きだすもの、川の河原の上流でしみ込んだ水が下流で湧くもの、など、様々です。
中には、人間が掘った自噴の井戸が地域の生き物を永らえていることもあります。

そうした環境が、悪化するとき、将来も守っていきたいとき、湧水が何に支えられているのか、何が悪くする要因となるのか、を調べ「診断」するようなことが必要です。
この研究室では、そうしたことを現地で調査し、説明し、保全するための方策を示すことを目的としています。

研究キーワード
湧水、湧水環境、河川環境、地下水、伏流水、伏流水流動特性、水質形成、水温形成、わんど、人工わんど、たまり、砂州、交互砂州、河床材料、 トゲウオ、ハリヨ、イトヨ、ホトケドジョウ
研究サイト
■卒業研究サイト
 岐阜県: 津屋川(養老町)
      山除川(南濃町)
      牧田川(大垣市上石津町)
 愛知県: 郡界川・保久川上流(谷津田湧水)(豊田市・岡崎市)

■個人研究サイト
 岩手県:大槌町の源水川など湧水地一帯
 山形県:遊佐町の牛渡川など鳥海山麓湧水地一帯
 京都府:木津川の砂州伏流水

滝の温度環境 :滝がもたらす涼しい環境の成り立ちを解析し、新たに創り出す研究

滝の近くは夏でも涼しい環境が得られます。
実は突き詰めていくと、その理由は単純ではありません。

水は、落ちていくなかで形を変えていきます。
膜になったり、粒に変わったり、分裂していったりします。
それが、落下する水の周りの空気を動かし、強い風を引き起こします。

一方、粒になっていくことで、水が蒸発しやすくなり、自らと空気から多くの熱を奪います。
滝つぼがあれば、多くの空気も巻き込まれバブルとなり、その粒にも蒸発が起こり、冷やされた空気が水面上に吐き出されます。

こうして冷やされた空気が風となることで、私たちは「涼しい」と感じるのです。

それを数字で予測し設計するためには、何を知り、どんな式をたてればよいのかを研究し、どんな滝を作り出せばどんな効果をもたらすのか、がわかる、ということを目指しています。

実は、この冷やす効果は、水にも与えられます。
地球温暖化が進む中で、冷たい水に住む生物にとって、この効果はどの程度有用なのか、を知ることもできます。
これらのために、どんなふうに水の落ち方が変わり、どんなふうに風をもたらし、どんなふうに空気を冷やしているのか、など、多く研究することがあり、取り組んでいます。

研究キーワード
滝落ち、膜状、粒状化、抗力、巻き込み、吹き出し、潜熱・気化熱、冷涼、都市空間、知床、砂防堰堤、オショロコマ
研究サイト
■卒業研究サイト 
 愛知県:男川(岡崎市) 室内実験

■個人研究サイト
 北海道:金山川砂防堰堤(斜里町、知床)

河川氾濫 :川が氾濫する豪雨をいちはやく判断し、逃げるための研究

川の近くに住む住民にとって、今は洪水ハザードマップが公表され、気象予報や避難指示の仕組みがあり、川が増水してきたら逃げる、ということができる時代になりました。
しかし、「いつ逃げ始めるべきなのか」ということは、避難指示が出ているときには川の水位が危険になっていることが多く、まだまだ改善しなくてはならないのが実情です。

つまり、もっと早く動き始めることはできないか、というのがこの研究の起点です。 
いま、ここの家がA川が氾濫して浸水するのは、川のどのあたりが氾濫する場合なのか、どこの雨量、どこの水位がいくらになった時なのか、を最も早い時点で知ることができればと考えています。
それは、地域・地区によって変わってきますが、それに合わせたきめ細かい情報を提供する仕組みを考えていくのが、この研究の目的です。 

研究室では、名古屋市南区において、大雨による天白川の氾濫や、台風による高潮(海からの氾濫)について、いち早く逃げるための情報提供を行えるWebサイトの構築と、そのための予測手法について研究・開発を行っています。  
この他にも、水災害があれば現地調査を行い、資料調査と合わせて、その災害の特徴・要因・背景を捉え、必要に応じて報告・解説を行います。

研究キーワード
地域防災、自主防災組織、防災情報のローカル化、防災スイッチ、共助、地域防災Webサイト、高潮、台風、天白川、氾濫
研究サイト
■卒業研究サイト  
 愛知県: 天白川(名古屋市南区)
      名古屋港

■個人研究サイト  
 豪雨の被災地調査については「 個人研究活動 」をご覧ください。

河川環境 :川の形、植生、環境の相互作用の研究

川の中では、水だけが流れているのではなく、土砂や様々な物質が流れて行っています。
川の中に存在する物は、水だけではなく、土砂や構造物でできた地形、植物、様々な生き物が存在しています。
それぞれが勝手に存在するのではなく、水が土砂を動かし、できた地形・変化した地形とその土砂の大きさ、水のつかりやすさに応じて植物が定着したり流されたりを繰り返しています。
こうした水・土砂・植物が互いに影響するしくみが、川の変化していく方向を定めます。

その様子・仕組みを調べることが、川の環境や防災力を考えるうえでとても重要です。
人や生き物にとって「どんな川になるのか」が定まってくるからです。

生き物にとって、住みやすさ、洪水や渇水や他生物からの生き残りやすさはどうなるのか、植物だらけか土砂ばかりの川になるのか。
土砂や植物が多くなり氾濫しやすい川にならないか。

研究室では、川の中のある場所、例えば「ワンド」と呼ばれる入り江地形や、ヨシ原、砂地の干潟、河原の水辺のアジメドジョウのすみか、入り江と砂地の入り組むイタセンパラの産卵場、などに注目し、その環境がどのように良い(悪い)状況なのかを調べます。
その理由の多くはその場所・そこの水だけにあるのではなく、その川全体の水・土砂・水質の流れや地形、植物、人工物がどのように作用してきたからなのか、を読み解き、どう保全し、どう改善するのかを根拠をもって提案できるようにする、そういう研究を心がけています。
これは川の近くの湧水への影響が関係する場合があります。

研究キーワード
相互作用、植生、土砂、砂州、ワンド、ヨシ原、ツルヨシ、イタセンパラ、アジメドジョウ
研究サイト
■卒業研究サイト  
 岐阜県:牧田川 (大垣市上石津町)  
 愛知県:矢作川、 木曽川

■個人研究サイト  
 岩手県:大槌町

卒業研究

■ 2025年度 研究テーマ
  • 北部浄水公園湧水域の流動と水温形成
  • 谷津田生息場形成の気象条件による影響
  • 谷津田生息場形成の水利条件による影響
  • 平坦で厚みのある滝落ちに関する実験
  • 天白川水位予測システムの開発
  • 天白川水位予測情報提供に関する研究
  • 矢作川下流砂州上流部の地形と二次流路河床の変動
  • 矢作川人工ワンドの水温形成と地下水流動
  • 戸田川の水位変動と河岸の冠水状況
  • 戸田川緑地の水辺の生息環境

  過去の卒業論文一覧

研究設備・装置など

■ 研究室の施設

 ・学生研究室
  (院生・卒研生 約12名での使用)
 ・水理実験室(約100平米) 
   現地調査器具格納、各種加工装置、
   滝落ち実験装置(2024年現在)
   組み立て式アクリル水路が展開可能
    (オープンキャンパスなどで展示) 

■ 実験・調査用 設備・装置・器具など

 ・現地での各種計測装置

   自記水位計、自記水温計、自記EC計
   地下水位計(マニュアル)
   熱電対式水温計測用ケーブル
     +他項目データロガー
   EC/pH計測器、DO計測器
   一次元流速計(流量観測用)
   サーモグラフィカメラ
   ゴムボート、生物調査関係器具
   測量器具(水平レーザ、トランシットほか)

 ・半導体レーザー照射装置・高速カメラ
   (滝実験での空気・水の可視化、
    簡易水路での波・流れの可視化)

 ・イオン分析計(現地採取した水のイオン構成)

 ・ドローン(河川の撮影)

 ・GPS-PDA(現地調査用GPS)
   導入の記録はこちら(2008年頃の記録)